2013年2月24日日曜日

ランダムな初期条件を与えたとき

ランダムな初期条件

4点を参照するセルオートマトンについて,前回は初期条件に1点のみ1の値を与えたものを調べてみたが,その初期条件のみだと,なかなかルールの性質というのは分からない.やはり,ランダムな初期条件を与えてみて,どのような定常状態に収束するのか.また,定常状態になるまでにどのような挙動をするのかというのを調べるのが,力学的には意味がありそうだ.

セルのサイズは256,時間は256ステップ.情報は3セル/ステップで広がっていくので,1つのセルからの情報は3周していることになる.256/3=85ステップ以降は,周期境界の影響を受けるので,それ以降に定常状態になるものについては,ちょっと別に考えないといけないかもしれない.

初期条件はランダムな配置で,全て同じランダムな配置を与えている.本当は,様々な入力についてアンサンブルを取らなければいけないのだろう.しかし,それはちょっと面倒過ぎるので,今後領域をでかくとることで対応する.

等価なルールを除外すると,全部で16704個のルールがある.

結果の例

本当は全部載せたいのだが,難しいので代表的なものと興味深いのみ載せる.画像のファイル名がウルフラムコードになっている.例によって,画像の横がそれぞれのセル.縦が上から時系列となっている.

いくつかに定性的に分類する.

すべてのセルが一つの値に収束する

すべてのセルが0か1になるもの,つまり一色になるもの.ウルフラムが言う所のクラス1.これはあまりない.情報が直線的に広がっていって全ての値が同じになる場合のみで,複雑な動きののち一つの値に収束するものは見つけられなかった.


セルごとに一つの値に収束

セルごとに値は違うが,運動の止まった状態になる場合.これもクラス1.図は縦の線だけになる.やはり,単純な挙動ののち一つの値に収束する.

一様な運動に収束

上とほとんど同じ.同じものと分類してもよい.これもクラス1.すべてのセルが一様に同じ方向に速度1セル/ステップで移動する.図では45度の斜めの線のみになる.45度以外の場合は振動を伴っているのでここには入れない.

振動

一部のセルが振動,つまり周期的な動きをする.これはウルフラムが言う所のクラス2である.図では縦の模様が周期的に変わる.周期は,2ステップの場合が多いが,上の図のように比較的長い周期もある.

振動と一様な移動

これがもっとも多かった.ほとんどがこれになる.これもクラス2.短い周期の振動を伴いながら,一様に移動する.移動の速度は2セル/ステップ,1セル/ステップ,0.5セル/ステップの場合がある.

速度の異なる一様な動きが重なる

運動が伝わる特性曲線のようなものが何本かあるので,それが交差するように見えるもの.規則的な動きに見えるが,初期条件がランダムで領域が無限大の広さであれば振動は周期的でなくなる.これもクラス2だ.

一様にランダム

完全に不規則で一様にランダムに見えるもの.ウルフラムのいうクラス3である.様々なパターンがあり,結晶の標本を見ているようで面白い.粒子のサイズがいろいろあるのが不思議だ.


規則的な中に不規則なのが混じるもの

一番面白いのはこれだな.クラス4と呼ばれるもの.クラス2っぽいが収束が遅いのも含める.


なんか分からんの

なにに分類していいのかよく分からん奴.一様なランダムにも見えるが,粒子のサイズが大きくて何かありそうにも見える.もしくは一見規則的に見えるが,不規則なもの.

今後

いくつかに分類できることがわかったが,やっぱり手作業で分類するには無理がある.計算機を用いて分類する方法を考えたい.

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